現在、日本では70万もの橋梁が架けられており、そのうち18%が50年以上経過、10年後には40%の橋が建設後50年以上が経ちます。トンネルは約1万本あり、うち20%が50年以上経過し、20年後には50%を超えると言われています。また、各種構造物においても地震や災害の影響が大きく、特に日本では耐震化の取り組みが見直され、耐震改修工事が進んでいます。 災害以外でも、雨風・日差し・排ガス・塩害など様々な劣化要因があります。橋梁やトンネルなどと同様に、建築物も平均寿命(20年~40年)があります。各種構造物は、経年するにつれ、自然とコンクリートの劣化も進行しているのです。様々な劣化要因がある中で、各種構造物に応じた補修材料の選定し、補修・補強により長寿命化させることが重要となっています。 当社では施工性が改善された商品や、環境面を考慮し、時代のニーズに応じた商品をラインナップしております。
また、当社は二方向アラミド研究会の正会員として、二方向アラミドシート工法の販売代理店をしています。劣化したコンクリート構造物に、アラミドシート繊維で補修することにより、床版の寿命を延ばすことができます。アラミドシートでの補修・補強は、現代に必要とされているのです。
※工法に関するお問い合わせ先
二方向アラミドシート工法研究会 https://www.nihoukou-aramid.com/index.html
アラミド繊維はナイロンと同じアラミド結合-CONH-を有する合成繊維で
骨格がベンゼン環から構成されています。そのため、パラフィン系芳香族ポリアミド繊維と言われています。
特徴: 耐熱性、非伝導性、耐衝撃性、しなやかで追随性に優れています。
研究会が保有する、二方向アラミドシートはアラミドのしなやかさを活かし
交互に繊維を編みこんでいく『バスケット織』で製造しています。
シートを1層張ることで、橋軸方向・橋軸直角方向の二方向に効果を発揮します。
※そのほか、各種アラミド繊維シートも扱っています。
1、二方向に繊維を編んでいるため、1回の貼り付けでも、2層分の効果を発揮。またヤング係数が低く、しなやかなのでコンクリートからの衝撃を吸収し、その応力を分散します。
2、事前に高目付け繊維シートに樹脂を含侵させることで、コンクリートとの付着をより強固にします。
3、引張強度は鋼材の7倍、重量は1/5です。非導電、軽量かつ高強度であるため、工期短縮・作業環境にも柔軟に対応可能です。
4、土木研究所による輪荷重走行試験(147kN)により、走行回数 881,540千回の耐久性を証明されました。(87タイプ2層, 床版の場合)。
対象構造物 | 床版・スラブの補修 |
橋脚・橋桁・橋梁 | |
変状トンネル |
※事前含侵
※シート貼り付け
<接着工法での比較>
構造 | アラミド繊維シート接着工法 | 炭素繊維シート接着工法 | 鋼板接着工法 |
構造概要 | 既設床版コンクリート下面にアラミド繊維シートを貼付け、床版と一体化させる事により曲げ耐力の向上を図る工法 | 既設床版コンクリート下面に炭素繊維シートを貼付け、床版と一体化させる事により曲げ耐力の向上を図る工法 | 既設床版コンクリート下面に鋼板を貼付け、床版と一体化させる事により曲げ耐力の向上を図る工法 |
概要図 | |||
特徴 | 〇 鉄筋探査などの床版内部の調査は不要である | 〇 鉄筋探査などの床版内部の調査は不要である | △ 仮固定用のアンカーを必要とする為、床版下縁の鉄筋探査を行う必要がある |
〇 死荷重の増加がほとんどない | 〇 死荷重の増加がほとんどない | △ 死荷重が増加する | |
〇 格子張りが可能である | 〇 格子張りが可能である | △ 2方向補強の場合,全面張りとなる | |
施工性 | 〇 軽量である為、施工安全性に優れ施工が容易 | 〇 軽量である為、施工安全性に優れ施工が容易 | △ 重量物である為、作業が大掛かりとなる |
〇 しなやかで追随性があるため、床版の凹凸になじみ易い | 〇 ヤング係数が高く、床版の凹凸になじみにくい | ||
維持管理 | △ 樹脂と繊維が紫外線劣化するので表面被覆が必要となる | △ 樹脂と繊維が紫外線劣化するので表面被覆が必要となる | △ 鋼板の塗装の塗り替えが必要となる |
<連続繊維シートの比較>
繊維種別 |
アラミド繊維 |
炭素繊維 |
||
ケブラー, |
テクノーラ |
パン系 |
ピッチ系 |
|
アラミド1 |
アラミド2 |
高強度型 |
高弾性型 |
|
引張強度(Mpa) |
2060 |
2350 |
3400 |
2900~1900 |
ヤング率(Gpa) |
118 |
78 |
245 |
390~640 |
破断伸度(%) |
1.7 |
3.0 |
1.4 |
0.7~0.3 |
質量 |
1.45 |
1.39 |
1.76 |
1.82 |
材料特性の比較 |
||||
熱的性質 |
繊維の熱分解温度は500℃ |
繊維の熱分解温度は500℃ |
繊維の熱分解温度は3000℃ |
繊維の熱分解温度は3000℃ |
エポキシ樹脂の熱分解温度,ガラス転移点温度それぞれ250℃,80℃程度であるので, FRPとしての熱的性質はエポキシ樹脂の特性に支配される。 |
||||
耐候性 |
繊維は紫外線劣化する |
|
|
|
エポキシ樹脂が紫外線劣化するので,表面被覆工が必要である。 |
||||
施工性 |
○ |
◎ |
○ |
○ |
耐アルカリ性 |
△ |
○ |
◎ |
◎ |
耐化学薬品性 |
△ |
○ |
◎ |
◎ |
耐衝撃性 |
◎ |
◎ |
△ |
△ |
耐疲労性 |
○ |
◎ |
○(屈曲疲労などに弱い) |
|
耐切削性 |
◎ |
◎ |
△ |
△ |
補強された部材特性の比較 |
||||
許容応力度法 |
補強材の引張剛性に比例した補強効果が得られる =大きな引張剛性を有するものが優位になる。 一般に,高強度型炭素繊維シートもしくはアラミド1繊維シートで補強不能となった場合に, 高弾性型炭素繊維シートを用いることが望ましい。 |
|||
床版の補強など |
○ |
△ |
◎ |
◎ |
床版橋の補強など |
◎ |
△ |
○ |
△(破壊形態が悪い) |
限界状態設計法 |
各種の限界状態に対して,それぞれの繊維シートの特性を生かして設計照査することが可能。 設計照査項目としては,耐久性,安全性,使用性,耐震性,などがある。 |
|||
曲げ補強 |
補強材の耐力の増大にしたがい,曲げ補強耐力は増加する。しかし,繊維シートは脆性材料であるので 破壊モードの照査は不可欠である。破断伸度の小さい材料は繊維シートの破断で終局にいたる場合がある。 また,繊維シートとコンクリートの定着にかかわる付着破壊の検討は不可欠であり, 曲げ補強は1200kN/m級の繊維シートで2層程度が限度である。 |
|||
段落し曲げ補強など |
◎ |
○ |
◎ |
△ |
せん断補強 |
補強材の耐力の増大にしたがい,せん断補強耐力は増加する。(原則として繊維シートは閉合巻立て) ヤング係数の高い炭素繊維シートで巻立てる場合は、出隅部の大きな面取りが必要である。 |
|||
ラーメンのせん断補強など |
○ |
○ |
○ |
× |
じん性補強 |
コンクリート横拘束することにより,部材の変形性能を向上させる。 一般的に,繊維シートの破断伸度が大きいほど変形性能が増大する。原因は終局が繊維シートの破断で生じるため。 |
|||
変形性能の付与など |
○ |
◎ |
△ |
× |
関連製品
お問合せ窓口