「カルレッツ®」 ~パーフロロエラストマー~ は、非常に優れた耐熱性・耐薬品性を示すゴムで、 O-リング等のシール材、異型品パーツでの供給が可能です。
カルレッツ®使用でコスト削減、工場内の安全性向上、商品の信頼度向上、完成度向上にご期待ください!
カルレッツ®は米国デュポンが開発した新しいエラストマー材料です。 耐熱性に関してはPTFE(フッ素樹脂)の持つ耐熱性と同等で316℃を誇るものもあり、あらゆるゴム材料の中で最高の耐熱性を示します。耐薬品に関しては、1800種類以上もの化学薬品や有機溶媒に対して耐薬品性を示し、フッ素ゴムでは使用が困難であった薬品においても安定性を示します。それゆえに、あらゆるゴム材料を試されたときに不可能であったことを可能にする最終手段のゴム材料として有効です。このような特性からカルレッツ®を必要とする用途は日々増加しています。
カルレッツ®は、パーフロロエラストマーと分類される高分子材料で、フッ素樹脂、フッ素ゴムともに、優れた耐熱、耐薬品特性をもつことで知られています。 カルレッツ®と、同じフッ素系高分子に属するフッ素系樹脂(プラスチック)であるテフロン(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)、フッ素ゴム(エラストマー)の化学構造式を示しました。 カルレッツ®の構造は、エラストマーの特徴である主鎖部:TFE(テトラフルオロエチレン)、枝分れ部:PMVE(パーフロロメチルビニルエーテル)、および架橋部から成り、完全にフッ素化されており、テフロンと極めて似た構造をしています。 一方、フッ素ゴムは、主鎖部の一部に、炭素ー水素結合が存在しており、この結合は、炭素ーフッ素結合より弱いために、カルレッツ®と比較して熱的、化学的特性が低くなります。 |
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優れた耐熱性 優れた耐薬品性
8002 | 充填剤を一切含まず、プラズマ照射時にパーティクルの発生がほとんど無い材質。耐熱性にも優れている。あらゆる種類のプラズマに対して、耐プラズマ性および、耐熱性に優れた材質。 | |
硬さ(ショアA) | ||
68 | ||
耐熱目安(℃) | ||
250 |
8575 | 耐プラズマ性に優れており、カルレッツ®白色材質の中でプラズマエッチング等に最も実績がある材質。 | |
硬さ(ショアA) | ||
72 | ||
耐熱目安(℃) | ||
280 |
8475 | 耐熱性、低放出ガス特性に優れた材質。拡散炉、LD-CVD等の耐熱用途に実績がある。 | |
硬さ(ショアA) | ||
73 | ||
耐熱目安(℃) | ||
300 |
4079 | 強酸、有機酸を含む一般耐薬品性に優れたカルレッツ®の標準材質。高温使用時における圧縮永久歪みが最も優れる。アミン類には要注意。熱サイクルでの使用は280℃が好ましい。 | |
硬さ(ショアA) | ||
75 | ||
耐熱目安(℃) | ||
316 |
6375 | アミン類に対して最適の材質で、幅広い腐食性流体に対して耐薬品性が優れた材質。抽出物が非常に少なく、ウェット用途に適している。 | |
硬さ(ショアA) | ||
75 | ||
耐熱目安(℃) | ||
275 |
1050LF | アミン類に対して適切な材質で一般的な耐薬品性に優れている。200℃以上の熱水、水蒸気の雰囲気には注意。 | |
硬さ(ショアA) | ||
82 | ||
耐熱目安(℃) | ||
288 |
3018 | 硬度を高めた材質。スチレンモノマー、ブタジエン等の化学品に対して最適の材質。 | |
硬さ(ショアA) | ||
90 | ||
耐熱目安(℃) | ||
300 |
7090 | 高硬度/モジュラス、良好な圧縮永久歪特性をもつ、高耐熱材質。 | |
硬さ(ショアA) | ||
90 | ||
耐熱目安(℃) | ||
325 |
0090 | 石油/ガス産業での急激なガス爆発的減圧サービス向けの高硬度カルレッツ®。 | |
硬さ(ショアA) | ||
95 | ||
耐熱目安(℃) | ||
250 |
6380 | 非黒色の耐薬品性に優れた材質。 | |
硬さ(ショアA) | ||
80 | ||
耐熱目安(℃) | ||
275 |
7075 | 最高の耐熱目安と、低温域での優れた圧縮永久歪特性をかねそなえた、画期的な材質。 | |
硬さ(ショアA) | ||
75 | ||
耐熱目安(℃) | ||
327 |
0040 | 低温アプリケーション用途。 | |
硬さ(ショアA) | ||
70 | ||
耐熱目安(℃) | ||
-42 ~ 220 |
6190 | 成形性に優れた材質。 | |
硬さ(ショアA) | ||
73 | ||
耐熱目安(℃) | ||
300 |
6885 | 特にエーテル類・エステル類・ケトン類及びアルコール類に優れた耐薬品性。 | |
硬さ(ショアA) | ||
75 | ||
耐熱目安(℃) | ||
270 |
6880 | 特にエーテル類・エステル類・ケトン類及びアルコール類に優れた耐薬品性。 | |
硬さ(ショアA) | ||
70 | ||
耐熱目安(℃) | ||
250 |
6236 | サニタリーガスケット用配合。USPおよびJP対応。 | |
硬さ(ショアA) | ||
90 | ||
耐熱目安(℃) | ||
250 |
6230 | 医薬・食品製造プロセス向け標準配合。 Oリングなど。 |
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硬さ(ショアA) | ||
75 | ||
耐熱目安(℃) | ||
260 |
LS205 | 医薬・食品製造プロセス向け白色新配合。 Oリング、カスタムパーツなど。 |
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硬さ(ショアA) | ||
75 | ||
耐熱目安(℃) | ||
225 |
化学工業分野では各種プラントの化学装置のメカニカルシール、軸受けシール、化学品用ポンプ、配管部品に使用され、半導体産業では半導体製造機械向けシール、ガス、溶液配管部品、パーツ搬送用装置部品に使用され、OA機器では、コピー、プリンター機器の構成部品、充電用バッテリーのシール剤に使用され、自動車分野では、エンジン用ガスセンサー用部品に使用され、エネルギー産業分野では石油、天然ガス資源の採掘用部品に使用され、航空宇宙分野ではジェットエンジン、ロケットエンジン等の部品、その他分析機器、理化学機器、ペイント・塗装設備に使用されています。
化学工業分野でカルレッツ®は過酷な条件下で長寿命なシール材で、交換の回数を減らし生産効率をあげるだけでなく、継ぎ目からの薬液の漏れや飛散による事故の確率を減らし、工場内の安全を確保します。
半導体の製造工程においては、腐食性の強い薬液、高温の熱環境、プラズマ照射等の厳しい条件下での要求にカルレッツ®は応えます。数ミクロンの不純物を嫌う半導体業界では、製造ラインの配管材等の選定も商品の完成度に影響を与えます。ライン内の清潔さを保つ為にもカルレッツ®は重要な役割りを果たしています。
製造ラインにおける高温の水蒸気や、アルカリ洗浄液、次亜塩素酸などの薬液による過酷な洗浄や滅菌に耐えうるゴム材料です。
*高温の水蒸気、熱水への耐性は材質によって差が有りますので弊社までご相談下さいます様お願い申し上げます。
カルレッツ®の優れた性能はAS9000の必要条件を満たしております。AS9000はISO9000に36の航空宇宙品質管理システムの必要条件を追加したものであります。カルレッツ®が航空宇宙産業の品質管理に忠誠を示している証拠でもあります。
業界 | -カルレッツ®の実績- |
化学工業 | 246℃のダウサムA*中で3年間使用できた。 |
化学工業 | 149℃の酸性ガス(9%H2S、15_19%CO2)下で34ヶ月間使用できた。 |
半導体 | 温度218℃における、シリコーンウェハーの塩素やアンモニアガスを含む窒化物行程で1年間使用できた。 |
化学工業 | 220℃のオルトニトロクロロベンゼン下で1年間使用できた。 |
化学工業 | 169℃の無水マレイン酸下で1年間使用できた。 |
化学工業 | 316℃のアスファルト下で6ヶ月間使用できた。 |
化学工業 | 220℃の70%酢酸下4ヶ月間使用できた。 |
化学工業 | 250℃のスチーム下1年間使用できた。 |
半導体 | 3ヶ月間、100℃の半導体ウェットプロセスでイオン抽出レベルをppb以下に保てた。 |
化学工業 | 288℃の炭化水素下17ヶ月間使用できた。 |
化学工業 | 232℃のN-メチル-2-ピロリドン下1年間使用できた。 |
カルレッツ®以外のエラストマーではフッ素ゴム、シリコンゴム、他社製パーフロロエラストマーなどが比較的耐熱温度が高く約200℃までの温度に用いられるが、200℃以上の温度に対してはカルレッツ®のみが使用可能である。
図2-1 200℃でのエージング時間とシール力保持率の関係
カルレッツ®は図2-1の通り200℃の環境下においても、長時間にわたってシール材として問題なく使用できます。
圧縮永久歪みが80%を超えるとシール不能になるといわれております。 ※カルレッツ®の耐熱グレードの耐熱製特性は次の通りです。
材質 | 耐熱温度 (℃) |
圧縮永久歪(%) 200℃、70時間 |
4079 | 300 | 15 |
1075LF/td> | 260 | 60 |
4079 | 300 | 23 |
材質4079はカルレッツ®の各種グレードのなかで最も耐熱温度の高いタイプです。また、材質1050LFは、放出ガスの最も少ないタイプです。
図2-2 204℃でのエージング時間と圧縮永久歪みの関係
カルレッツ®部品は、多くのエラストマーを劣化させる酸やアルカリ、アミンを含む1800種以上の化学薬品に対して耐薬品性を示します。
低膨潤化学反応によって多くのゴム材料は膨潤を起こし、ゴムとしての性質を示さなくなり使用できなくなります。しかし、右写真の通りカルレッツ®は6ヶ月間のメチルエチルケトン、トルエン、メチレンクロライドの3混合溶媒による浸漬テストの後も膨潤しませんでした。一方、フッ素ゴムは右の通り膨潤しました。 |
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フッ素ゴム(左)vs カルレッツ®(右) |
室温で7日間浸漬後の体積増加率
流体 | フッ素ゴム(%) | カルレッツ®(%) |
ヘキサン | 1 | <1 |
シクロヘキサン | 4 | <1 |
ベンゼン | 22 | 3 |
トルエン | 8 | <1 |
ヘキサン | 1 | <1 |
酢酸エチル | 280 | 3 |
四塩化炭素 | 1 | 4 |
パークロロエチレン | 1 | 2 |
クロロベンゼン | 8 | <1 |
アセトン | 200 | 2 |
メチルエチルケトン | 240 | <1 |
テトラヒドロフラン | 200 | <1 |
エタノール | 6 | 0 |
ニトロベンゼン | 24 | <1 |
アクリロニトリリル | アニリン類* |
ブチルアルデヒド | DMF |
DNT | エピクロルヒドリン |
エーテル類 | フラフレール |
メチレンクロライド | シンナー類 |
スチレン | 塩化ビニール |
アミン類* | ブタジエン類 |
セロソルブ | DMT |
酸化エチレン | ケトン類 |
窒素化合物 | 酸化プロピレン |
THF |
この浸漬テストの結果は、デュポンエラストマー社ラボでのテストに基づくものです。これらのテスト結果は、カルレッツ®が、耐熱性、耐薬品性において、他のエラストマーより明らかにすぐれた特性をもっていることを示していますが、個々の用途については研究室では作り出せない条件もあり、したがってお客様のあらゆる用途について保証することは不可能です。このため、使用に際しては、個々の用途に対して、使用のまえに、独自に機能テストを行うようおすすめします。カルレッツ® 製部品の破損が、大きな損害や負傷をひきおこす可能性がある場合は、独自の機能試験を行うことが特に重要になります。エラストマー製の部品は、どれをとっても永久に使用できるものではありません。したがってカルレッツ®製の部品といえども、上記のような重大な応用分野で使用する場合は、定期的な点検と交換を忘れないよう、十分にお気をつけください。
材質 |
4079 | 1050LF | 8475 | 8575 | 8002 | 6375 | 7075 | 6190 | 6230 | LS205 | 6885 | 6880 | 6236 | 6380 | 7090 | 0040 | 0090 | |
引張強さ(1) | MPa | 16.9 | 18.6 | 14.4 | 13.9 | 18.8 | 15.1 | 17.9 | 20.8 | 15.1 | 21.11 | 17.9 | 12.0 | 21.5 | 15.9 | 22.8 | 13.7 | 19.5 |
100%モジュラス(1) | MPa | 7.3 | 12.4 | 3.3 | 2.5 | 2.2 | 7.2 | 7.6 | 6.4 | 7.2 | 7.57 | 7.6 | 2.5 | 17.8 | 6.9 |
15.5 |
6.6 | 14.2 (50%モジュラス) |
破断時の伸び | % | 150 | 125 | 227 | 204 | 250 | 160 |
160 |
234 | 160 | 170 | 160 | 230 | 142 | 160 | 75 | 180 | 80 |
硬度デュローメーター | A±5 | 75 | 82 | 73 | 72 | 68 | 75 | 75 | 73 | 75 | 75 | 75 | 70 | 90 | 80 | 90 | 70 | 95 |
圧縮永久歪み(2) | % | |||||||||||||||||
常温で70時間 | 22 | 30 | 35 (3) | |||||||||||||||
204℃で70時間 | 25 | 35 | 23 | 16 | 25 | 30 | 15 | 20 | 30 | 21 | 15 | 16 | 40 | 12 | 41(4) | 40(4) |
比重 | 1.9~2.0 | 熱伝導率 | 50℃ 0.19W/m・k | |
摩擦係数 (カルレッツ®対スチール) | 0.25~0.60 (グレードで異なる) | 100℃ 0.19W/m・k | ||
200℃ 0.19W/m・k | ||||
300℃ 0.19W/m・k | ||||
線膨張係数 (25~250℃) | 2.3~3.6×10-4/℃ |
電気特性 |
誘電率 | 1000Hz 4.9 |
比 熱 | 50℃ 0.226cal/g | 誘電正接 | 1000Hz 5×10-3 | |
100℃ 0.233cal/g | 体積 抵抗率 | 約1014~1017Ω・cm | ||
150℃ 0.252cal/g | 耐電圧 | 17.7kV/mm以上 |
熱膨張の注意点:カルレッツ®を高温使用される場合は、熱膨張による体積増加を十分にご考慮下さい。
●力ルレッツ~パーフロロエラストマー~は、不活性で、通常の使用条件では人体に悪影響をおよぽすことはありません。
●米国運輸省の法令では、輸送中のカルレッツ®製部品は、無害の通常部品として分類されています。
●加熱されたカルレッツ®から出る煙や、その熱分解物によって重大な危険が発生したという記録はありません。しかし、通常のエラストマー、合成樹脂、塗料、溶剤、あるいは天然の高分子である木材、絹、羊毛、ゴム等が分解したり発煙したりして発生する高濃度の物質はやはり有害であるように、カルレッツ®製部品も400℃以上の高温に熱せられると、フロロカーボン分解物を放出し、もしそれを高濃度で呼吸すれば、人体の呼吸系統に障害を与える危険性があります。
●カルレッツ®の部品を、ナトリウムのようなアルカリ金属の溶融体または気体に接触させると激しい化学反応を起こす危険がありますのでご注意下さい。
●製品の使用および廃棄に関する条件は、弊社の管理外となるため、弊社は本サイトに記載された情報の貴社による係わりにつき、何ら保証をなすものではなく、また、責を負うものではありません。
●いかなる材質についても特性を特定する前に、最終便用条件下での貴社による評価が必要であり重要です。
カルレッツ®は、米国デュポン社の登録商標です。
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